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《やる気のトリセツ(取扱説明書)》を連載でご紹介しています。
 

前回までの内容はこちら
⇒ やる気のトリセツ(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)

《No.8》やる気を活用するためのサポートをする

<8-3>評価をせずにありのままを受け止める

心のブレーキは、「失敗に対する恐怖心」だけではありません。
「他人の評価に対する恐怖心」もまた、心のブレーキになります。

たとえば、次のような子はいませんか?

 ・悪いテスト結果を隠そうとする
 ・苦手意識のあることを避ける
 ・ウソをつく
 ・親や大人の期待を先読みして行動する
 ・自分がどのように見られるかを意識して、相手に合わせようとする

これらは、「他人の評価に対する恐怖心」が行動に表れたものです。
もちろん、これらは人が社会に適応していくために必要な
健全な心の働きでもありますから、決して悪いことではありません。
ただし、過剰に適応しすぎると、「自律」ではなく
他人の評価で生きる「他律」するようになります。

親や先生の期待に応えようと、一見頑張っているように見える子でも、
「他律」で生きる子は、自分なりの目的意識は持っていないので、
期待されないと取り組まないようになります。
そして、従順であることに疲れると、ときに激昂し、ときに哀れっぽくなり、
場合によっては、神経症や心身症などを患うこともあります。
大事なテスト前になると、お腹が痛くなる子が周りにいませんか?


では、どんなことが原因で、「他律」で生きるようになるのでしょうか?
考えられる要因は様々ですが、
その子の気質と、周りの環境が大きいようです。

一般的には、身近な親や先生が、常に厳格、頑固、強制などの態度をとり、
命令、禁止、批判で子どもを監督していると、
「他律」で生きるようになりやすいようです。

「早くしなさい」
「それはダメだって言っているでしょう」
「私の言う事を聞きなさい」
「なんでそんな簡単なこともできないの!」

こう言う言葉はかけたくないものです。
たとえ、それらの行為が、子どもに対して愛情を持っていたとしても。


では、どうすれば「他律」にならずにすむのでしょうか?

対処法は様々ですが、
「他人の評価に対する恐怖心」が原因であるならば、
・良い悪いの評価をせずにありのままを受けとめる
・指示・命令や誘導・強制ではなく、
自分で考え、自分なりの意思を伝えるように促す
ことが効果的だと思います。
そのためには、まず、安心・安全の場を作ることが最も大切なことでしょう。
 

一つ、事例を紹介します。

-------------------------------------------
中学生のA君は、学習塾の授業中、私が席の近くを通るだけでビクつく子でした。
意識が目の前の学習ではなく、周りに向いています。
親や先生の言葉には「はい、わかりました」と
その場は全てを受け容れる態度をとります。
テスト結果はほとんど持ってきません。
他人の評価を過剰に意識している典型的な「他律」で生きている子でした。

そんなA君も、時とともに徐々に変わっていきました。
私が席の近くを通っても、目の前の学習に集中するようになりました。
「数学のこことここがわからないから、もっと教えてほしい」
と自らの苦手単元をオープンにし、自ら要望するようになりました。
この変化は、書面では表しがたい、とても大きな変化です。
「A君の人生が変わった」と私は確信しています。

ではどうしてこのような「他律」から「自律」へと変化していったのでしょうか?
一番の要因は、母親の関わり方が変化したことだと思います。

A君が小学生の頃、母親は
「あれをしなさい!これをしなさい!」
「あれはダメ!これはダメ!」
「何を考えているの!それはやっちゃいけないと言ったでしょう!」
と命令・禁止・批判で支配しようとしていました。

また、子どもに対する不安から、自分でやらせた方がいい細々としたことまで
「手出し口出し」をする過干渉でもありました。

そして、上手くいかないことが続くと、
「もう勝手にしなさい」
と突き放すことも度々あったようです。


そんな母親も、A君が中1の終わり頃になるとずいぶんと変わっていきました。
不安を抱えながらも、支配したい欲求をだんだん手放すようになり、
A君本人の意思や選択を尊重するようになっていきました。

ときに「手出し口出し」しすぎることもあったようですが、
結果を期待するのではなく成長を信頼し、
A君の味方となって安心・安全の場を作るよう心がけていました。

この変化は、面談に来る母親の表情や態度、姿勢によってはっきりと見て取れました。
とても大きな変化です。
このために、どんなに悩み、苦しみ、自らを律してきたことでしょう。

母親の努力が功を奏して、A君は前述したように、自律していったのですが、
A君が「他律」から抜け出し「自律」するまでの変化には、数年を要しました。
一度、「他律」「で生きるようになると、「自律」するまでに時間がかかるようです。
しかし、その後の長い人生を考えれば、貴重な数年だったのではないでしょうか。
A君と母親に拍手!!

-------------------------------------------

愛するがゆえに厳しくしてしまうことがあります。
転ばないように心配するからこそ、手出し口出ししてしまうことがあります。
期待するがゆえに、他人と比較して、良い悪いの評価をすることがあります。
子を想う親、熱心な先生ほど、これらは手放しづらいことのようです。

それでも子どもが「他律」ではなく、「自律」できるように、手放しましょう。
「転ばないように心配するより、起き上がる練習をさせる」
「結果を期待するのではなく、成長を信頼する」
「行動を監視するのではなく、子どもの存在を見守る」
そんなスタンスで接したいものです。

そうして子どもが、自分で考え、自分で決め、
自ら行動する人として成長すれば、
周りに左右される「やる気」ではなく
自分の内側からわき出る「やる気」を自然と活用するようになることでしょう。
 

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